えすのおと

16歳の現役高校生 “えす” のブログ。

【青春】深夜にゴキブリと “命の対峙” をした平成最後の夏。


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どうもどうも。

えす(@Sakura_05300921)です。

 

全くもって夏っぽいことをせずに過ごしていたくせに、都合よく森山直太郎の「夏の終わり」を聴いてノスタルジーに浸っています。なんか去年も同じことしてた気がする。

 

いやー、夏が終わりますね。

ノスタルジーがすごいよ。ノスタルジーが。(ノスタルジーって言いたいだけ奴)

 

まぁこれといって特に何もなく、ただただいつもと同じような時間と一緒に流れてただけなんだけど、せっかくだしこの夏の思い出でも振り返ってみようかなと。

 

 

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深夜にゴキブリと “命の対峙” をした、平成最後の夏の思い出。

 

2018年8月31日。

平成最後と謳われた夏が終わる。

 

今年も何もしなかったな。

 

人生が夏休みの私にとっては、特段夏っぽいことをしたい訳でないのならわざわざ夏休みの混み合う時期に外に出る必要はないので、当たり前のような気もするのだけれど。

 

平成最後の、夏の思い出。

いくら考えを巡らせてみても、何も浮かばなかった。

 

強いて言うなら、ゴキブリと戦ったことぐらいしか。

 

 

入浴剤を入れてから、お風呂に入る。

ふと、過去の記憶が蘇ってくる。

 

いつだったかの、夏の公園。

 

端の方に生えている笹の葉を千切って、兄と一緒に笹船をつくり、小さな池に浮かべた。

自分がつくった笹舟はいつも上手く浮かばなくて、ちょっと悔しかった。

 

熱帯夜の、家の駐車場。

 

まんなかに小さなドラム缶を置いて、そこに火を灯して。

買ってきた花火セットを広げて、家族で小さな花火大会をしたりなんかもした。

 

 

そんな夏も、気付けばもう数年前のこと。

 

いつの間に私は、ゴキブリと戦ったことしか思い出のない、ちんけな夏を過ごしている。

 

でも確かにそれは平成最後の夏の思い出で、ある意味、強烈に印象深い出来事であった。

 

 

今日話すのは、私とゴキブリとの、ひと夏の物語・・・

ゴキブリとの戦いしか夏の思い出がないってなんか自分で言ってて悲しくなってきたんだけどこのまま続けるお。

 

 

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Episode0. G

 

「code name : G」

 

全人類を恐怖のどん底へと陥れるその悪魔は、まるで走るかのようにやってきた夏の来訪に、嬉々として不敵な笑みを浮かべている。

 

気付いたときにはもうすぐそばにいる。逃げられない。

その様は何だか、いつの日かに聞いたあの怪談にも似ていた。

 

そして今まさにこの瞬間、ここにはその悪魔との対峙、ただそれだけがある。

 

 

Episode1. 訪れ

 

名古屋の、ただの住宅街。敷地内はちょっとだけ緑が多めで、虫もいる。

そんなところで過ごすこと、早16年。

 

ゴキブリはあまり出ないので、耐性はない。

 

虫はそんなに嫌いじゃないけれど、ゴキブリは大の苦手。

ただの先入観かもしれないけれど、たぶん一生苦手なまま。そんな気がする。

 

その彼が、私の前に姿を現したのは、7月の終わり。

 

とてもとても暑い、ある夜のことだった。

 

 

正直、咄嗟のことでよく分からなかった。

でも確かに、あれはゴキブリであった。それだけは把握できた。

 

薄い畳のマットが敷かれた床を行く、黒っぽい影。間違いなく奴である。

 

驚くほどに速かった。こんなに速かったっけ...?と思うほどに速かった。

私は足が遅いので、50m走だったら普通に負けてしまうんじゃないかと思った。

 

無論、その瞬間は冷静ではいられなかったので、そんなことを思ったのは後の話なのだが。

 

 

気付いたときには、もうその姿は見当たらない。見失ってしまったようだ。

 

私が普段使っている机のほうへと進んでいった気がしたので、スマホのライトを付けて辺りを探ってみたのだけど、やはりどこにも居なかった。

 

まさに忽然と、姿を消した。

それはまるで、ここまでの全てが、嘘だったかのように。

 

 

Episode2. 期待

 

なぜ彼は、よりによって私の部屋に姿を現してしまったのだろうか。

 

私はただただ、ゴキブリが怖いのだ。

ただただ率直に、ゴキブリという存在から目を背けたいのだ。

 

他の部屋だったらまだよかった。もしくは廊下でもよかった。

スルーすればいいだけの話だからだ。干渉しなければいい。ただそれだけ。

 

それなのになぜ、私の部屋に。

私が一日の大半を過ごし、作業し、ゲームし、そして眠りに就く、この部屋に。

 

 

ただ、内心淡い期待を抱いていたのも事実である。

 

なんやかんやで、ずっと同じ部屋で過ごしていれば仲良くなれるんじゃないかと。

あれだけ嫌いだったゴキブリとの間に、友情が芽生える瞬間が来るんじゃないかと。

 

もちろんそれはコミュニケーションという形で通じ合えるといった話ではなく、ただの気持ちの問題なのだけれど、それでも構わない。

 

現に、どこからか入ってきた蚊やダンゴムシも、そのままほったらかしにしている。

 

先ほど、虫はそんなに嫌いじゃないというなんだか曖昧な表現をしてしまったが、わりと大丈夫なタチなんだとおもう。

 

ゴキブリとも、そんなお互いがお互いを許しあう関係性になれるんじゃないかと、密かに期待を寄せていた。

 

 

Episode3. 再会

 

初めて彼が私の前に姿を現したときから、およそ1週間。

ゴキブリと、実質同棲状態になってから、1週間が経ったときのことであった。

 

というかさっきから彼という言葉を使っているが、実際の性別は分からない。

そもそもゴキブリの性別なんて正直知りたくもない。よって適当に彼と呼ばせていただく。

 

彼と初めて会ってから1週間。我々は久々の再会を果たした。

 

 

ベッドの上で胡坐をかきながらゲームに興じていたとき。

ふと下のほうに目を遣ると、あのときと同じ影が走っているのが見えた。

 

一瞬驚いて、「うわっ」と声を上げてしまったのだけれど、落ち着いて、もう一度その姿を目視する。

 

そのときの感覚はまるで、十年来の旧友と再会したかのようだった。

 

慣れってすごいなと思った。

 

そしていつか、彼がこの部屋からいなくなるその日まで、ずっとこんな平和な日々が続くのだろうなと思った。

 

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Episode4. 恐怖

 

しかし、それから数十秒もしないうちに、安心は恐怖へと豹変した。

 

気付いたときには、もう手遅れだった。

 

急に寒気を感じて、今度は横に目を遣る。

 

私の、すぐ隣の、襖。

 

そこに、彼がいたのである。彼が上ってきていたのである。

 

いや、もうそれは彼なんていうものではなく、あからさまにゴキブリであった。Gであった。

 

 

その距離、わずか40cm。

背筋が凍った。一瞬、身動きが取れなくなった。

 

赤黒く光る身体。長く伸びた触角。

あとで調べてみて分かったのだが、それはゴキブリの幼虫。

 

間近で見てみると、それは本当に、ただただ、気持ちの悪い生物だった。

 

 

さっきまでの安心は、もうどこにもない。

 

今にもゴキブリがベッドの上に落ちてきそうだ。

 

心臓の鼓動を感じる。呼吸が少しずつ荒くなっていく。

 

あぁ、もう無理だな。

 

私は、ただ逃げていただけだったのかもしれない。

 

見て見ぬフリをしていただけだったのかもしれない。

 

もう、決着をつけるしかないんだ。

 

 

全てが、崩れ落ちていく音がした。

 

 

Episode5. 命の対峙

 

もうこれ以上、ゴキブリと同じ空間で過ごすのは無理だということを確信した。

 

ただ、だからと言って、この状況をどうするのか。

深夜1時。私は、落ち着いて考えた。

 

答えは一つだった。

 

 

「ゴキブリを捕まえ、生きたまま外へ逃がす」。

 

 

殺すのではなく、生かす選択をした。

 

一緒に過ごしたことで情が芽生えたとか、そういう話ではない。

 

私の、私だけの部屋に、たった少しでも居座ったことは事実。

 

いや向こうからすればもしかしたら自分たちの住処に私が住んでいるという認識なのかもだけど、とは言えここまで大きな恐怖を与えた罪はとても重い。

 

 

ただ、これは 人間 vs. G なんていう、軽々しい戦いではない気がした。

 

駆除者 vs. 害虫でもなければ、高等生物 vs. 下等生物でもない。

 

この空間上でサシで対峙した以上、そこにあるのは 命 vs. 命 。

 

そこには、なんの隔たりもない。

同じ一つの命を持つ者として、対等な関係であるという、そんな気がした。

 

だから、絶対に生きたまま外へ逃がす。

 

その一心で、私はゴキブリと向き合った。

 

 

詳細は省くが、とても熱い戦いであった。

熱い戦いでなければ、いちいちこんなゴキブリについての文章なんて綴っていない。

 

時間にして、およそ20分ほどだっただろうか。

 

それはまさに、ゴキブリと私が、“命の対峙” をした瞬間であった。

 

 

結果として、私は戦いに勝った。

 

ゴキブリを殺さずに、生きたまま外へ逃がすことに成功した。

 

大の苦手であったゴキブリと真正面から向き合い、そして勝ったのだ。

 

もはや、感動した。こんな感覚、すごく久々だった。

 

圧倒的勝利感に浸りながら聴くQueenの「We Are The Champions」は、ただただ、最高の一言に尽きるものであった。

 

 

Episode6. 夏の終わり

 

それからは、いつもと変わりない平和な日々を過ごしていた。

ゴキブリのいない、平和な日々を。

 

今年の夏も、何もしなかったな。

 

そんなことを考えながら、新しい秋を迎える。

 

筈だったのに。

 

 

 

命の対峙から1ヶ月が経った、夏の終わりのことだった。

 

あのときの彼によく似た影を、再び部屋で目にしたのは。

 

 

 

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おわりに

 

以上、平成最後の夏、ゴキブリと過ごした青春の日々について でした。

 

書いている最中は謎に気持ちが熱くなってたんだけど、書き終わったあとの虚無感がすごい。

自分なにやってるんだろう...?っていう。ワイの青春的な夏は何処へ...?っていう。

 

本当はこの話はハッピーエンドで終わらせるつもりでした。

 

それがまさか最後の最後、もうすぐ夏が終わるってときにまたゴキブリが部屋に出てくるとは思いませんでしたね。思いっきりバッドエンドな夏。

 

ただある意味、ゴキブリがいる間はまだ夏の続きなのかな、とも思ったり。

 

まぁとりあえずもう怖いので、母にコンバットを買ってきてもらいましたとさ。

 

 

 

とても楽しい夏でした!!!(白目)