地獄への行進
「分かりきった地獄へと向かう気分はどうだい?」
見知らぬ男が、意地悪に微笑みながら言った。
「最高だね。」
私はそう彼に微笑み返した。
その声には、どことなく殺意が滲んでいた。
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どうもどうも。
えす(@Sakura_05300921)です。
アイキャッチ画像でカッコつけて英語をデカデカと配置したけどもちろんGoogle翻訳を使ってるのでちゃんと意味が合ってるかどうか不安です。
そんなワケで、遂にこのときがやってきました。
いや、やってきてしまいました。
予てより話していた「スクーリング」が、遂にやってきてしまいました...
スクーリングとは、年に1回 学校の本校舎(県外)に出向き宿泊する行事。
他の学校で言う野外学習のようなものだ。
ただその実態は朝から晩まで勉強づくめの合宿である。
特に悪事を働いたワケでもないのにさながら刑務所のような地獄のカリキュラム。
不登校経験者も多い学校なのにちょっと無理させすぎじゃね?という感じが否めない。
2泊3日で終わるのが唯一の救いなのかもだが、私にとってはあまりにも巨大すぎる障壁。
バックレたいとはこういうときに使う言葉なのだなと実感している。
以前の三者面談で半ば強引に登校しなくてもいい権利を勝ち取った。
だがこのスクーリングだけは絶対かつ強制的に参加せねばならない。
スクーリングに参加し、テストに合格することで単位が手に入る。
卒業だけを目標とする私の前に立ちはだかる、難攻不落、最強の門番。
面談のときには「年に1回頑張るぐらいなら...」なんて思っていたが、いざその敵を目の前にしてみると足が竦むような思いだ。
しかし、ここまで来てしまったからにはもう逃げられない。
無理ゲーだと思われたレポートも死に物狂いで全て終わらせ、学習のまとめたるものもたった10枚程度のプリントに10時間近くかけながら何とか仕上げた。
どちらも締め切りを何度も延長しつつ最後の最後、ギリギリのところで突破した。
スクーリング不参加となれば恐らくその全てが水の泡となり、駒は振り出しに戻ってしまう。
ふと状況が四天王の部屋に入ると出られなくなるポケモンみたいだな、なんてことが脳裏をよぎったが、同時に分かる人ほとんど居ないか、とも思った。
不登校を経て、学校という環境に順応できない人間になった。
その状況下で同級生たちと時間を共にする。
地獄だ。地獄としか言い様がない。
考えるだけで精神がおかしくなりそうだ。
だが、もう遅い。
そんな地獄と、対峙せざるを得ない。
脳内で再生されているのは、ジャック・オッフェンバック作曲「天国と地獄」。
普段は陽気に聞こえるメロディが、どことなく闇を纏っている。
激しいシンバルの打撃音と共に、悪どい新興宗教の洗脳テープのごとく狂気に満ちた軽快なリズムが響く。一つ一つの音が脳内に打ち込まれていく。蝕んでいく。
その音は、まるで見知らぬ男の意地悪な微笑みのようだった。
地獄への行進。
不思議ではあるが、今は清々しい気分だ。
Just Do It. ただ、やるだけ。
NIKEのスローガンであるこの言葉は、アメリカのとある死刑囚が死に際に放った一言だ。
今のこの感情は、それに通ずるものがあるかもしれない。
生きて帰ってくれば上出来。
そのぐらい軽い気持ちで向かおう。
では、行ってきます。地獄に。