えすのおと

16歳の現役高校生 “えす” のブログ。

犬小説「ソウルメイト」を読んでみた感想。


今週のお題「プレゼントしたい本」

 

どうも。

ちょっと緊張気味の作成者です。

 

えー今回は、

前に「小説を読みます」宣言をしてから

記念すべき人生第一冊目の小説を読み終えたので

その読んでみた感想を書きたいと、思います。

 

・小説を読み始めたきっかけ等はこちら。↓

 

私が人生最初の小説に選んだのがこちら。

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馳星周さんの「ソウルメイト」です。

 

小説っていうと

初心者的に小難しいイメージがあって、

いきなり芥川賞作品読んでも分からないんじゃね?と思っていました。

 

なので最初は入りやすそうな

「犬」を題材にした作品をインターネットで調べ、

最終的に辿り着いたのがこの「ソウルメイト」。

 

本屋で購入したのが8月27日。

読み終えたのが9月12日。

約2週間を掛けてじっくりと読ませて頂きました。

 

自分は凝り性なトコがあるので

集中すると1日で全部読み終えてしまう危険性があるんです。

 

でもそれじゃあ心にも届かないので

極力 夜寝る前以外は読まないと決めていました。

そんな事があって思ったより読み終えるのに時間が掛かったのです。

 

 

はい、本の感想なんて

評論家でも何でも無い自分が書けるのかと不安なのですが

思った事・感じた事を正直に書きます。

よければ見て頂けると幸いです。

 

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本書の内容

 

「ソウルメイト」

「魂の伴侶」という意味である。

 

犬と人間は言葉を交わせない。

しかし両者は固い絆で結ばれる。

 

本書では、そんな犬と人間の物語を

「チワワ」「ボルゾイ」「柴」

「ウェルシュ・コーギー・ペンブローク」

「ジャーマン・シェパード・ドッグ」「ジャック・ラッセルテリア」

「バーニーズ・マウンテン・ドッグ」

7つの短編小説で表現し、構成されている。

 

 

犬の十戒

 

目次が記されたページをめくり、

最初に目に飛び込んでくるのが「犬の十戒」。 

 

犬の十戒とは

インターネットを通じて世界中に広まっている英文詩で、

犬と人間の理想の関係を

犬から人へ語りかける内容となっている。

なお作者は不明。

 

私はこの詩の存在を知らなかった。

「作者不明」って、何そのカッコよさ!w とか思ったが、

読んでみると感動した。

 

今回は全文を紹介したいと思う。

翻訳は本書の著者である馳星周さん。

 

 

1. ぼくは10年から15年ぐらいしか生きられないんだよ。

 だから、ちょっとでも家族と離れているのは辛くてしょうがないんだ。 

 ぼくを飼う前に、そのこと、考えてみてよね。

 

2. 父ちゃんがなにをして欲しがっているのか、

 ぼくがわかるようになるまでは忍耐が必要だよ。

 

3. ぼくのこと信頼してよ。

 ぼくが幸せでいるためには、みんなの信頼が必要なんだから。

 

4. 長い時間怒られたり、罰だっていって閉じ込められたりするのはごめんだよ。

 みんなには仕事だとか遊びだとか友達がいるでしょ?

 でも、ぼくには家族しかいないんだよ。

 

5. いっぱい話しかけてよ。

 人間の言葉はわからないけど、話しかけられてるんだってことはわかるんだ。

 

6. ぼくにどんなことしたか、ぼくはずっと覚えてるからね。

 

7. ぼくをぶつ前に思い出してよ。ぼくはみんなの骨を簡単に嚙み砕けるんだよ。

 でも、ぼく、絶対にそんなことしないでしょ?

 

8. 言うことを聞かないとか、頑固になったとか、

 最近怠けてばかりだとか言って叱る前に、ちょっと考えてよ。

 食事が合ってなかったのかも。暑い中ずっと外にいて体調が悪くなったのかも。

 年をとって心臓が弱くなってるのかも。

 ぼくの変化にはなにかしら意味があるんだから。 

 

9. ぼくが年をとってもちゃんと面倒見てね。

 みんなもいつか年をとるんだからさ。

 

10. ぼくの嫌いなところに行くときは、お願いだから一緒にいてよ。

   見てるのが辛いとか、見えないところでやってとか、

   そういうことは言わないでよ。

   そばにいてくれるだけでいろんなこと、頑張れるようになるんだ。

   愛してるよ。それを忘れないでね。

 

 

涙もろい人はここで涙腺爆発しますよねw

私も今 書きながらにして目の奥にジンと来るものがあります。

 

一見簡単に見えて非常に深い。

 

個人的に言うと

13456810が心に残りましたね。

(ほぼ全部やん、っていう。)

 

5は特に感銘を受けました。

犬に話しかけるって、どんだけ犬バカなの!

なんて思っていた頃も正直ありました。

 

犬に人間の言葉は分からない。

それは誰もが知っている事実。

 

でもそこに「話しかけられてるのは分かる」って言われて、

もうズドーン!と胸に突き刺さりましたね。

 

これを読んでからは毎日寝る前さくらに、

「今日はこうだったね。そう言えばあんな事もしたね。

 あぁいう事はしちゃダメだよ?明日も頑張ろうね。」

なんて色々語りかけています。

 

確かに意味は理解して無いだろう。

でも何というか、何て言うんだろうね?

なんか伝わっているような、そんな気がする。

 

 

7はなかなか小憎たらしくて可愛いですね。笑

 

どれも良いお言葉です。

 

しかし捻くれ人間の私は

この詩をうちの飼い主と照らし合わせて

うわ~、めちゃ当てはまるな~と考えていましたw

 

特に10の事はよく言ってます。

絶対に診察室入らないもん。うちの飼い主。

 

 

最後ちょっと余談が入りましたが、

これからも ふとした時にこの詩を読み返して

果たして自分がさくらに対して正しい対応をしてるのか、

それを模索していきたいと思っています。

 

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Episode1.「チワワ」

 

-妻・時枝と娘2人に嫌われ、憎まれ、蔑まれた定年過ぎの佐伯と

 時枝が連れ帰ってきたチワワ・ルビィの、何とも複雑で哀愁漂う話。-

 

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佐伯の浮気や傲慢な態度により家族間の亀裂が生まれる。

 

娘達は佐伯を軽蔑し、

佐伯と時枝が住む軽井沢の家には寄り付かなくなった。

 

終いには妻・時枝にまで突き放される。

末期の膵臓癌で腫瘍があちこちに転移。

抗癌剤治療を行って余命3ヶ月から半年と診断されたが、

時枝はその延命治療を頑なに断り、死を選んだ。

 

残されたのは佐伯とルビィだけ。

 

佐伯の生き甲斐は超小型犬のチワワだけ。

 

そんな儚くて寂しい、

犬と人間の関係が描かれている。

 

 

 「ここから私の小説人生が始まる。」

そう考えながらに緊張しつつ、1ページ目を開く。

 

思っていた通りの文字の配列。読む気が失せかけた。

「おい、こんなん本当に読めるのか?」と思った。

 

とりあえず、読んでみた。

 

面白い。笑

 

初っ端からいきなりの

 

車を降りると濃密な空気の塊が鼻に流れ込んできた。

 

なんだそのイラつくような表現方法は。

カッコいいじゃないか。笑

 

その後も

 

ルビィが車の中で吠えていた。

癇に障る甲高い声が森の静寂を無粋に引き裂いていく。

木々の葉は深い緑色を湛え、濡れたアスファルトがその緑を受け止めて、

いつもの時期とは違う色に染まっていた。

 

などと、無駄にカッコいい言葉・文章を連発させる。

 

まだ2ページ読んだばかりなのに、

私の脳内は完全に小説の世界に酔いしれていた。(←負けじとカッコつけるw)

 

ストーリーはまぁまぁヘビー。

小説っぽいと言えば小説っぽい。イメージ通りだった。

 

 

Episode2.「ボルゾイ」

 

-再婚して父親となった学と一向に馴染めない

 いじめられっ子の小学3年生悠人とボルゾイ・レイラの話。-

 

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レイラは当たり前のように悠人を無視し、唸る。

 

無理もない。

所詮は大型犬と子供。

その体格差からして下に見られるのは当然。

悠人は毎日のように腹を立てていた。

 

そんなある日、

悠人は同級生からイジメを受ける。

 

泣きながら家に帰ると

あのレイラがまるで慰めているかのような行動をとった。

 

自分を守ってくれるレイラに励まされ、勇気を出し、

最終的にはいじめっ子集団を撃退するという

「水戸〇門」に匹敵するほどの王道ストーリー。笑

 

 

私も昔、さくらに下に見られて苦労していたので

共感できる部分がとても多くありましたね。うん。

 

この小説での犬は、

何かしらの問題を抱える人間の心に空いた穴をそっと寄り添って埋める存在。

 

その為 人間ドラマ半分、と言っても過言では無いぐらいに

登場人物の人間関係が多く紹介されている。

 

 

それより小3のイジメで金銭強奪を描くとは驚いた。

私の地域の治安が良かっただけですかね?w

 

 

Episode3.「柴」

 

-東日本の震災で飼い主を失った柴犬・風太。

  その飼い主の息子である神田が

  動物保護団体へ加入し警戒区域に足を踏み入れ風太を探す。-

 

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風太は亡き飼い主を探そうと警戒区域内を放浪する。

 

神田はその飼い主の息子。

風太の飼い主は神田の母にあたる。

 

神田は原発のある故郷に母を残し都会へ出た。

母も一緒に連れて行こうと考えていたが、母はそれを拒否した。

その代わりに風太をプレゼントした。

 

しかし本当は分かっていた。

原発のある故郷での暮らしに気後れし、

風太を押し付ける事で

母を故郷に残してしまった自分の罪悪感に蓋をしただけだったと。

 

結果 母を震災で亡くす。

 

生前の母に対する不義理への罪滅ぼしとして、

生前の母に笑顔を与えた風太の面倒を自分が見よう。

それが風太を探す真の目的だった・・・。

 

そんな深いお話。

 

 

勿論1番期待していた話ですよ。

柴犬ですからね。

 

風太はうちのさくらと違って

飼い主にだけ従順で、

他者には吠え掛かるという典型的な「THE柴犬」。

 

著者はその特徴を見事に書き表していた。

他の話でもそれが言える。

犬種ごとの違いを分かった上で、

それを読者に伝わりやすいよう文にしている。さすが。

 

「東日本大震災」という現実

著者の空想を組み合わせているので

他の作品とは一風変わった雰囲気をかもちだしている。

 

 

Episode4.「ウェルシュ・コーギー・ペンブローク」

 

-酷い虐待を受けて捨てられたコーギー・ルークが

 真波らの愛情を受け、ゆっくりと家族になっていく話。-

 

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ルークは捨てられた。

捨てた人間共はルークを置き去りにして引っ越し、

飼い犬を捨てたという事実を

とうに忘れたかのような幸せな生活を送っている。

 

最初はその飼い主のお向かいさんだった

真波の母・希美が捨てられたルークを保護した。

 

しかし、過去のトラウマからルークは人に懐かない。

希美は一週間で娘の真波にSOSを出し、真波が引き取る事となった。

 

元々飼っていたミニチュアダックスのレイア、

夫・良輔、そして真波。

 

虐待の実態が見え隠れしながらも

ありったけの愛情を注いで家族になっていく。

その過程が描かれている。

 

 

これは本当にムカつきました。

虐待を与えた人間に。

 

物語は空想だが、

実際この世の中には愛犬を虐待する人間がいる。

信じられないが確かにいる。

 

ちょうど動物愛護とかを考えていた時期だったので

悲しみと憎しみで私の心は落胆した。

まるで世界が終わるかのようなどん底だった。

 

 

Episode5.「ジャーマン・シェパード・ドッグ」

 

-登山を通じて知り合った愛(めぐむ)と川久保。

 川久保の相棒であるシェパード・メグを間に描かれる恋愛物語。-

 

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愛は幼少期に犬に噛まれた事がトラウマで犬が大の苦手だった。

 

趣味の登山中に見かけた川久保に惹かれたが、

その隣に寄り添うシェパード・メグが怖くて声を掛けられない。

 

ある日、山を登りきった山頂にメグがいた。

愛は背筋が凍りつく思いをしたが、

その時 川久保と初めて言葉を交わす。

 

それから一緒に登山をしたりしながら愛は

「メグだったら大丈夫」という安心感を得る。

 

メグをキューピッドに2人の距離は縮まっていく。

 

 

いわゆる恋愛ものですね。

全7編の中で唯一 ヘビーな描写がない作品です。

ほっこり系です。

 

「犬は人と人との架け橋にもなる。」

 

そんな著者のメッセージでしょうか。

 

 

Episode6.「ジャック・ラッセル・テリア」

 

-美樹と息子・亮が飼う、獰猛なジャックラッセル・インディ。

  美樹と離婚した康介が亮をインディのボスにする為 奮闘する一夏の話。-

 

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安易な気持ちでインディを家に迎え入れ 痛い目に遭った美樹は仕方なく、

離婚した康介に助けを求めた。

 

康介は息子の亮をインディのボスにすべく

夏休み中の10日だけ亮とインディを自分に預けてほしいと提案し、

久々に息子と一緒に過ごす貴重な時間を得る。

 

インディは康介が飼っている大型犬アンドレと遊びながら

社会に適応する術を学んでいく。

康介と亮の間に生まれた隔たりもいつしか埋まっていた。

 

10日という限られた時間。

別れる事を定められた10日間。

 

嬉しくも切ない、そんな夏の思い出。

 

 

個人的にこの話が1番好きですね。味があって。

 

インディのしつけの為の10日間というよりは、

親と息子の10日間を中心に描かれています。

 

それなのに何故、その話が犬の小説に含まれているのか。

それはインディがいたお陰で親子の再会が実現したから。

インディがいなければ、

亮を預かるなんていう提案は美樹が許さなかっただろう。

 

この10日間の夏の思い出。

最終日が描かれないまま 話は一気に2年後へ進む。

別れのシーンをばっさりカットする感じも好きです。

 

2年後、あの夏にインディと過ごし

インディを育てた康介の愛犬アンドレが亡くなった。

 

康介は「次はジャックラッセルを2匹飼おう。」と考える。

2匹にする理由を文中では

「あんな小さい犬1匹では大型犬アンドレの代わりは務まらない。」

と書き表してるが、私は違うと思う。

 

2匹というのはあの夏 共に過ごしたインディを指していて、

それだけあの夏を恋しく思っている康介の心情を表してるのだ・・・。

 

 

こういう深読みが出来た時って、なんか嬉しいよね。笑

 

 

Episode7.「バーニーズ・マウンテン・ドッグ」

 

-重篤な病と闘うバーニーズ・カータと、共に闘う真一と鈴子の感動の物語。-

 

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カータは「組織球性肉腫」だと宣告された。

 

真一と鈴子は出来るだけカータに合った環境を求め、

知人が所有する軽井沢の別荘を借りる事にした。

 

嬉しさを爆発させ躍動するカータ。

それだけで真一たちは幸せだった。

 

しかし、カータの命は徐々に蝕まれていく・・・

 

 

人間も同じだが、犬もいつかは死ぬ。

今あなたが飼っている大事な愛犬もいつかは死ぬ。

私が飼っている柴犬さくらもいつかは死ぬのだろう。

 

犬を飼う上で、この「死」という現実を受け止めねばならない。

 

本書ではその死が冷酷に描かれている。

ドラマのような奇跡は起きず、

カータは最後、2人に見守られながら亡くなった。

 

ラストシーンではさすがに泣きそうになった。

今も泣きそうだ。目が熱い。

 

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まとめ

 

犬と人間は固い絆で結ばれている。

ここまで人間と心を通わせられるのは犬しかいないだろう。

 

「死」という現実を知りながらも、人は犬と共に過ごす道を選ぶ。

そこには犬という種族の素晴らしさが詰まっている。

 

愛した分だけ、愛を返してくれる犬。

 

人々はそんな犬に魅了され、支えられ、生きていく。

 

この本を読んで私は、

愛犬さくらを大切にしよう。と素直に思えた。

 

この本を読んで良かったとも思えた。

 

 

ソウルメイト。魂の伴侶。

 

現に犬を飼っている方、

これから犬を飼おうと思っている方、

特に犬が好きでない方も、

犬が嫌いだという方も。

 

犬に対する価値観が変わります。

 

是非1度、本書を手に取ってみてはいかがでしょうか。

 

 

 

最後までご覧頂きありがとうございました。

 

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