えすのおと

16歳の現役高校生 “えす” のブログ。

【感想】「未来のミライ」を観たら自転車の練習をした “あの夏” を思い出した。


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どうもどうも。

えす(@Sakura_05300921)です。

 

一昨日7月20日、公開初日に細田守監督の最新作「未来のミライ」を観てきました。

 

ずっと楽しみにしていたこの作品。

今回は観てみた感想などを、気の赴くままに綴っていこうと思います。

 

 

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未来のミライの概要。

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出典:「未来のミライ」公式サイト

 

監督/脚本/原作  細田守
主題歌/挿入歌  山下達郎
キャスト  上白石萌歌、黒木華、星野源、麻生久美子、吉原光夫、宮崎美子、役所広司
あらすじ

 

とある都会の片隅の、小さな庭に小さな木の生えた小さな家。 ある日、甘えん坊のくんちゃんに、生まれたばかりの妹がやってくる。

 

両親の愛情を奪われ、初めての経験の連続に戸惑うくんちゃん。そんな時、くんちゃんはその庭で自分のことを “お兄ちゃん” と呼ぶ、未来からやってきた妹・ミライちゃんと出会う。

 

ミライちゃんに導かれ、時をこえた家族の物語へと旅立つくんちゃん。それは、小さなお兄ちゃんの大きな冒険の始まりだった。

 

待ち受ける見たこともない世界。むかし王子だったと名乗る謎の男や幼い頃の母、そして青年時代の曾祖父との不思議な出会い。そこで初めて知る様々な「家族の愛」の形。

 

果たして、くんちゃんが最後にたどり着いた場所とは?ミライちゃんがやってきた本当の理由とは――

 

 

 

私が1番好きな映画監督、細田守。

 

どちらかと言うと、私は映画というものをあまり観ない。

 

話題の映画があってもそこまで強く観たいという感情が生まれないし、DVDを借りてきても金曜ロードショーで放送されていても、2時間ゆったりと観ていられるほどの気持ちの余裕がない。

 

映画に詳しくて、ストーリーや脚本を的確に分析し美しい感想を紡ぎだせる人が時折羨ましくなる。カッコいいなと思う。

 

それだけ、映画というものをどこか遠くに感じている。

 

 

そんな私が唯一好きな映画監督。細田守。

 

子供の頃から おおかみこどもの雨と雪を始めとした作品を観てきて、いつしか辿り着いたのが「なんかこの人の作品好きだな」という答え。

 

なんでか分からないけど、「なんか好き」。

 

たまに、直感的に好きだなって思うことがある。

簡単には言葉で言い表せないけど、そんなかんじの好き。

 

実際は中学生のころに「好きな小説家は?って聞かれてパッと答えられる人ってなんかカッコいいし、好きな映画監督がいるのもカッコよくね?」みたいな幼心で決めただけなのだが、今になって思うと、これはそんな浅はかな好きではないなと。

 

 

その細田守監督の最新作、「未来のミライ」。

 

前作のバケモノの子からもう3年もの歳月が経っていることに驚きが隠せず、何だか不思議にさえ感じるが、最初に書いたようにそれはそれは楽しみにしていた。

 

平成最後の夏と、細田作品。

 

まるで仕組まれたかのような素晴らしい組み合わせに心を躍らせながら、映画館へと足を運んだ。

 

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映画を観て思い出した、自転車の練習をした “あの夏” の記憶。 

 

映画はとても良いものだった。

 

単純な人間なので、どんな映画を観てもだいたい良かったなぁ... と思う。

そう言うと何だか嘘っぱちみたいに聞こえるが、本当に良い作品だった。

 

酷評ばかりが目立つこの社会でひとり呑気に良かったなぁ... なんてことを思っているとちょっと恥ずかしくもなるが、そんなものは人次第。

 

なんでこんなにも人の心を繊細に描写できるんだろう。

 

そんなことを感じながら、時々胸がきゅーっとなりながら、ちょっと涙がこぼれそうになりながら、その瞬間を噛み締めていた。

 

 

映画の中で、主人公のくんちゃんが自転車の練習をするシーンがある。

 

親ではないので分からないけども、自転車に乗れるようになったときって、きっと子供の成長を実感するすごく大事な一ページなんだろうなと思う。

 

それだけに印象的なシーンでもあったのだが、スクリーンに自転車の補助輪が映ったとき、これまで味わったことのない感覚に襲われた。

 

それはまるでこの映画の世界に入り込んだかのような、はたまた過去にタイムスリップしたかのような、そんな感覚だった。

 

青紫色の補助輪。

うんと昔、十年ぐらい前に、自分が使っていたものと全く同じ。

 

すっかり存在を忘れていたけど、確かにあのときと同じ。

 

記憶の引き出しの奥底に眠っていた補助輪。

あまりに深い場所にあったその記憶はふと、もしかして開けてはいけないものだったのではないかと私を不安にさせた。

 

でも、思い出した。色々なことを。そして、自転車の練習をしていた、“あの夏” のことを。

 

 

・・・

 

 

あれは確か、小学4年生の夏だった。

 

夏の日差しがじりじりと照りつける運動場。

行なわれていたのは、自転車交通安全教室。

 

学年の全員が、順番に学校の敷地外に出て行き、指定されたルートを自転車で進む。

 

当時 自転車に乗れなかった私は、どうすればこの絶体絶命の状況を切り抜けられるのかという難題で頭の中がいっぱいになりながら、緊張の面持ちで運動場で体育座りをし順番を待っていた。

 

太陽に熱せられた灰色の砂が、夏の情緒を浮かばせている。

 

 

なんで自転車に乗れなかったのかは分からない。

単純に乗る機会がなかったからかもしれない。

 

結局その日は、1mmたりとも進むことなく自分の番を終えた。

 

自転車のサイズが大きすぎて、学年の誰よりも背が低かった私はサドルに安定して座ることすらできず、これで運転するのは危ないと先生に判断されたためだ。

 

何とも言えない後味を感じながら皆んなが待機している運動場へ戻ると、すでに順番を終えて暇を持て余したクラスの友達が、砂をいじって遊んでいた。

 

私はその様子を、ただただボーっと眺めていた。

 

 

もう何年も前のことなので覚えてはいないが、幼心にちょっと危機感を抱いていたのかもしれない。

 

その日から、私は必死に自転車の練習をした。

 

思い出されるのは、あの夜のこと。

父と一緒に夜道を走り抜けた、あの夜のことだ。

 

 

外に出てみると、さっきまで聞こえていた虫の声がより近くに感じられた。

空にはほんの少しだけ星が光っている。

 

大きくて重い自転車を携えて、近くの通りに出た。

もわっとした熱に包まれたその場所は、夜なので車が通っておらず、人気も一切ない。

 

その真ん中、遥か遠くまで続く白線に沿って、自転車を走らせる。

 

静かに並べられた街灯と、真っ直ぐに伸びる2つのライト。

前を走る父の背中を追いかけるように、ただひたすらにペダルを漕ぐ。

 

ちょっとでも白線から逸れたら、端の方へと吸い込まれそうな勢い。

 

だから、真っ直ぐ、真っ直ぐに、私は自転車を走らせた。何度も、何度も。

 

 

心地の良い夜風が、優しく肌に触れる。

 

その夜だけは、ここ一帯がすべて、自分たちだけの世界になったような気がした。

 

 

・・・

 

 

それは、この長い人生において、ほんのちっぽけなものなのかもしれない。

 

でもきっとかけがえのない大切なもので、そのちっぽけなものが1つ1つ繋がって今がある。

 

忘れていた、大切な何かを思い出させてくれる映画。未来のミライ。

 

とても良いものを観せてもらったなと、心から思う。

 

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おわりに

 

以上、細田守監督の最新作「未来のミライ」を観てきた感想 でした。

 

今回は老若男女さまざまな人が映画を観にきていたなという印象。

 

上映前、売店の近くでポップコーンを食べていたらいきなり知らないおばさんに「それって中に持っていけるの?」って聞かれたんです。

 

あぁ、もしかしたら未来のミライを観るために初めて映画館に来たのかなーなんて、微笑ましく思ったりなんかして。

 

 

本当に、色んな人に観てほしい作品。

きっと人それぞれに、何か感じるものがあるんじゃないかなと思います。

 

ぜひ劇場でご覧になってみてください。

 

 

おまけ:未来のミライ公開記念イラスト。

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すきくない可愛い。